【「カラフル」森絵都】この世があまりにもカラフルだから、ぼくらはいつも迷ってる【ネタバレ感想】

小説
おすぎ
おすぎ

今回の小説「カラフル」森絵都

はこんなお話しです!

・自分の人生に意味を見いだそうと思える

・つらいとき、苦しい時でも少し前を向くことができる

・友達や家族、ささいな出来事も豊かな感情で向き合えるようになる

著者の紹介

1968年東京都生まれ。早稲田大学卒業。

1991年『リズム』で講談社児童文学新人賞を受賞しデビュー。同作品で椋鳩十児童文学賞を受賞。

『宇宙のみなしご』で野間児童文芸新人賞、産経児童出版文化賞ニッポン放送賞を受賞。『アーモンド入りチョコレートのワルツ』で路傍の石文学賞、『つきのふね』で野間児童文芸賞、『カラフル』で産経児童出版文化賞、『DIVE!!』で小学館児童出版文化賞を受賞。

『風に舞いあがるビニールシート』で直木賞、『みかづき』で中央公論文芸賞を受賞。

そのほかの作品に、「にんきものの本」シリーズ(童心社)、『クラスメイツ 前期』『クラスメイツ 後期』(偕成社)、 絵本作品に、『ぼくだけのこと』『ボタン』(ともに偕成社)、『オニたいじ』(金の星社)、『希望の牧場』(岩崎書店)などがある。

あらすじ(ネタバレ無し)

「おめでとうございます! 抽選にあたりました! 」

生前の罪により輪廻のサイクルからはずされたぼくの魂が天使業界の抽選にあたり、 再挑戦のチャンスを得た。 自殺を図った中学三年生の少年、小林真の体にホームステイし、 自分の罪を思い出さなければならないのだ。

ガイド役の天使のプラプラによると、父親は利己的で母親は不倫しており、兄の満は無神経な意地悪男らしい。 学校に行ってみると友達がいなかったらしい真に話しかけてくるのは変なチビ女だけ。

絵を描くのが好きだった真は美術室に通いつめていた。 ぼくが真として過ごすうちに、しだいに家族やクラスメイトとの距離が変わっていく。

モノクロームだった周囲のイメージが、様々な色で満ちてくるーー。

高校生が選んだ読みたい文庫ナンバー1。累計100万部突破の大人も泣ける不朽の名作青春小説。

深読みポイント

登場人物の背景がカラフル

物語の登場人物には様々な背景があります。

不倫、いじめ、悪徳商法、援助交際、家族問題など様々。

これらは特別な事情ではなく、現代の社会問題をそのまま抱えています。きっと、現代の日本でも珍しいことではありません。

しかし、人である限り、誰しもが後ろめたい部分、隠したい部分、苦しい部分があるのではないでしょうか。それは、主人公であり、母であり、父でもあり。

一面だけを捉えていると見えてこない登場人物の心に注目してみてください。

おすぎ
おすぎ

どうしても悪い所にばかり目がいってしまうけど、色々な事情があるんだろうね。

理解するのも難しいけど。

およこ
およこ

小林真くんみたいに、悪いことが続いていたら背景なんて見えないわよね。

大人でさえ、悪い方向にばかり考えてしまいがちなんだから。

主人公の小林真に対する思いの変化

最初に主人公が小林真に乗り移った時、良い印象はありませんでした。

それもそのはず。

低身長、低学力、友達もおらず、顔も整っているわけではありません。

しかし、物語が進むにつれて小林真に親しみを覚え始めます。

彼が愛した絵を同じように愛し、彼の境遇に同情します。

最終的には、本物の小林真に体を返してあげたいとまで思うようになります。

クライマックスまで、主人公と小林真の関係に目が離せません。

およこ
およこ

自分が生き返れなくても、本人に命を返したい。そんな感情が湧くものかしら。

おすぎ
おすぎ

他人の体だからこそ、まだまだ捨てた人生じゃないって思ったんじゃないかな?

主人公が思いを抱く理由にも注目!

主人公が生前に犯した罪とは?

人生をやり直すためには生前の罪を思い出さなくてはいけませんが、物語が進んでも、主人公は一向に思い出すことができません。

最後の最後で、天使のプラプラから思い出すよう急かされますが、それでもなかなか見つからず。

「しっかり目を開け。ちゃんと見ろ。ヒントはいたるところにある」

物語のいたるところに、主人公が生前に犯した罪のヒントがあります。

序盤からヒントがあると思うので、ぜひ、探しながら読んでくださいね。

およこ
およこ

うーん。何の犯罪かしら。

おすぎ
おすぎ

なぜ小林真だったのか、そこに注目して読んでみるといいかもしれないね。

感想(ネタバレ無し)

物語の登場人物の背景や出来事に関しては現実的なものばかりです。

だからこそ、自分の人生について捉えなおす機会になると思います。

小林真の人生は決して良いとは言い切れない状態でした。家族の問題、学校の問題、自分自身の問題。それらが重なって自殺に追い込まれてしまったのですから、当然でしょう。

主人公が小林真に乗り移って、彼の人生を哀れみ、同情します。

同時に、主人公の成長も相まって、小林真が見えていなかったことも見えるようになります。

主人公の罪を知ったとき、物語がつながり、自分自身も明日を明るく生きれるようになる作品だと思います。

おすぎ
おすぎ

思春期の世代に読み継がれてきた作品。

それは、不安定な子どもに共感を抱かせる内容だからなんだろうね。

およこ
およこ

様々な理由で自分の命を絶ってしまう人がいるからこそ、子どもに限らず読んでほしい作品ね。

きっと、もっと楽観的に生きていいはずなのよね。

おすぎ
おすぎ

自分の人生だから大切にするのはもちろんなんだけど、苦しくなって命を終わらせるのは悲しい。

物事の捉え方を変えて少し行動するだけで、きっと苦しい人生も、少しは生きやすくなるのかな。

およこ
およこ

この先はネタバレ感想なので、読んでない人は気を付けてくださいね!

【注意】ネタバレ感想

この世はカラフル、だからこそ迷ってしまう

タイトルにあるカラフルは、物事には様々な捉え方があるということではないでしょうか。

小林真は、確かに、不遇な運命だったかもしれません。

母の不倫、父の悪徳商法、初恋相手の援助交際、兄の暴言、友人関係。

しかし、主人公が小林真になってみて感じたことはそれだけではありませんでした。

母の不倫は母にも苦しみがあった。父には会社での苦悩や葛藤。初恋相手は思春期特有の不安定。兄は弟を思ってくれていたし、友人関係だってやり直せるチャンスはありました。

生前の小林真には色あせた、黒と白しかない、退屈な人生に見えたかもしれません。

しかし、本来は色鮮やかに彩られた素晴らしいものが人生だったのではないでしょうか。

物事の捉え方次第、自分次第で、いくらでも人生は楽しく、豊かなものにできると思います。

おすぎ
おすぎ

タイトルでもあったカラフルは、まさしく人生そのもの。

色あせてるように見える世界の出来事は、自分次第でカラフルになる。

だからこそ、人は迷ってしまうのかもしれないけどね。

およこ
およこ

色々な事に気を使ったり、考えたりしなくちゃいけないのは大変だけどね。

でも、自分次第で少しは生きやすくなるって伝えたいのかもね。

主人公は小林真に親近感を抱き始めて...

主人公が小林真に乗り移ったとき、小林真に幻滅したのは言うまでもありません。

しかし、小林真として生活していく中で、彼の不運に同情を始めます。

それだけではなく、彼に対して特別な感情を抱き始めるのです。

それは絵を書くシーンに表れます。

絵を書くことが好きという気持ちだけでなく、絵の上手さ、絵に対する思いまでもが一致しています。彼自身に乗り移ったから当然かもしれませんが、果たしてそれだけでしょうか。

いいえ。主人公は、紛れもなく、生前の小林真なのですから。

主人公が抱く思いは、小林真としての思いそのもの。その示唆が物語の序盤からされていると考えられます。

その後の物事に対する考え方の変化は、小林真が成長した結果であると考えられます。

生きてさえいれば、人生はいくらでもやり直せる。考え直してより良いものにしていける。

そんなメッセージとしても読めるのではないでしょうか。

おすぎ
おすぎ

小林真の自殺前と自殺後ではほとんど変わったわけじゃない。

変わったのは、本人の考えと行動だけだったんだ。

およこ
およこ

つまり、考え方と行動次第で、本当なら自殺までいかなかったかもしれないっていうことね。

皮肉だけど、他人のつもりだったからこそ、何とかできてしまったのね。

本書のテーマとなる最大の罪とは…

主人公の罪、それは自分を殺す「自殺」でした。

主人公がそのことを思い出すと、天使であるプラプラは再挑戦のチャンスについて説明を始めます。

この再挑戦は、捨てた魂がもう一度戻れるかどうか――。

他人事として小林真の人生を再び歩み始めてみると、自殺した時に立ちはだかった壁を次々と克服していきます。

他人事だからできたのではないか――。

そう言い放つ小林真に対してプラプラは「ホームステイだと思えばいい」「再挑戦の4か月を思い出せ」と軽い口調で言い残します。

私たちの人生も、そこまで難しく考えなくて良いのかもしれません。

「人生は死ぬまでの暇つぶし」なんて言葉もどこかで聞いた覚えがありますが、きっと、自分から死を選ぶほどもったいないことはないのです。

時には楽観的に考えることも幸せに生きる方法なのでしょう。

およこ
およこ

ついつい、自分の人生は大切だからこそ重く考えてしまいがちよね。

だからこそ、少しの失敗で挫折しちゃうのかも。

おすぎ
おすぎ

難しいかもしれないけど、時には逃げて、時には戦う。

生きてさえいれば何とでもなるような楽観性も大切っていうことを子どもや大人、関係なく伝えたいのかもしれないね。

コメント

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