【「コンビニ人間」村田沙耶香】普通や常識ってどういうこと?【ネタバレ感想】

ライフハック
おすぎ
おすぎ

今回の小説「コンビニ人間」村田沙耶香

はこんなお話しです。

  • コンパクトな物語と会話で、読みやすい
  • 日常生活を違う視点から見た、実感の湧きやすい場面設定
  • 普通とは何か、常識とは何かを考えさせられる

著者の紹介

村田  沙耶香(むらた さやか)

1979年、千葉県生まれ。玉川大学文学部芸術文化学科卒。

2003年、『授乳』で群像新人文学賞(小説部門・優秀作)を受賞しデビュー。

2009年、『ギンイロノウタ』で野間文芸新人賞。

2013年、『しろいろの街の、その骨の体温の』で三島賞。

2016年、『コンビニ人間』で芥川賞受賞。同作は累計発行部数100万部を突破した。

その他の著書に『マウス』『星が吸う水』『タダイマトビラ』『地球星人』『殺人出産』『消滅世界』『生命式』などがある。

あらすじ(ネタバレ無し)

「普通」とは何か?
現代の実存を軽やかに問う第155回芥川賞受賞作

36歳未婚、彼氏なし。コンビニのバイト歴18年目の古倉恵子。
日々コンビニ食を食べ、夢の中でもレジを打ち、
「店員」でいるときのみ世界の歯車になれる――。

「いらっしゃいませー!!」
お客様がたてる音に負けじと、今日も声を張り上げる。

ある日、婚活目的の新入り男性・白羽がやってきて、
そんなコンビニ的生き方は恥ずかしい、と突きつけられるが……。

世界各国でベストセラーの話題の書

深読みポイント

世間一般としての普通とは?

古倉恵子は小さいころから、普通ではないと思われていました。

小鳥のエピソード、学校でのエピソードなど、様々な場面から、読者から見ても普通ではないと感じるでしょう。その変わりぶりから、サイコパスなのではないかと思うほど。

大人になるにつれて、周りに合わせることで普通になることを覚えていきます。

コンビニではマニュアルがあることで、安心して働くことができます。

そんな彼女が異常に見えてしまいますが、周りの人は本当に普通なのでしょうか。

周りに合わせた自分は普通になったけど、周りの人は何に合わせているのでしょう。

普通って何だろう。

普通と常識を問い直される展開に注目です。

およこ
およこ

生まれてから「これはこういうもの」って教わることも多いわよね。

大体こうなるって予想がつくことも多いだろうし。

おすぎ
おすぎ

認められる違いと、認められない違いがあるよね。

同じことを正しいと思ってしまうこともあるし、安心にもなるし。

普通であることっていうのは難しい考え方だよね。

白羽との出会いで自分を見出していく

古倉の働くコンビニに、新人となる白羽というバイトが入ってきます。

白羽はコンビニのバイトを地位の低い仕事と扱ったり、仲間の店員に皮肉のようなことを言ったりするなど、これまた変わった人物でした。

あることをきっかけに、古倉は白羽と関わることになっていきます。

その中で、白羽自身も社会の普通や常識に疲れてしまったことが明らかになります。

普通や常識とかけ離れた2人の出会いは、どのような結末を迎えるのか。

おすぎ
おすぎ

古倉さんを「普通じゃない」って言う白羽さんも普通じゃないのが面白いよね(笑)。

変わり者同士の2人の展開に注目です。

およこ
およこ

私からしたら白羽さんのほうが社会性がなくて異常だと思うけど。

きっと、皆色々なところで普通じゃないことがあるのよね。

おすぎ
おすぎ

そんな2人が関わりあって、大きく運命が動き始めるよ。

2人と、周りが抱く感情は全然違うけどね。

感想(ネタバレ無し)

古倉さんにも普通があり、自分にも普通があります。

もちろん、一般的な常識も普通としてあります。

ただ、それぞれ個人にも普通がある中で、様々な普通が混ざりながら社会が成立しています。

その中でも、異なることで許されないものがあり、異物として排除されてしまうものがあります。

今回の物語で話題になったのは仕事、結婚などですが、自分たちの身の回りを見てみると、違うことで避けられてしまうことがきっとあるはずです。

普通とは何なのか。

そんなことを考えさせられる、コンパクトながら深い物語で、記憶に残り続けています。

おすぎ
おすぎ

法律みたいなルールは守らなきゃいけないと思うんだけど、常識に従うことは強要できたないし、してしまうことで苦しんでしまう人も多いよね。

およこ
およこ

周りの人の「こうあるべき」っていう考えは、アドバイスのつもりでも、相手を苦しめる可能性になるわよね。きっと、そんなつもりじゃないと思うけど。

おすぎ
おすぎ

それも含めて、普通や常識について考えながら読んでほしい1冊です。

ここからはネタバレ感想なので読んでない人は注意してください!

【注意】ネタバレ感想

人と違うことは治さなくてはいけないのか?

多様性が叫ばれる近年ですが、異なることは排除の的となることが今まで多かったです。

物語の主人公である古倉恵子も同様でした。

母親は、娘が死んだ鳥に対して「哀しい」という感情をもって欲しかったのでしょう。同級生を静かにさせるためにスコップで頭を殴ることも、普通なら考えられません。

「どうしたら治るのかしら」と頭を悩ませます。

36歳になってからも、正社員にはならずコンビニでアルバイトを続ける日々。彼氏がいるわけでもなく、結婚しようともしない。

知り合いたちも、そんな彼女に対して変わった眼で接します。

しかし、白羽と付き合い、コンビニを辞めて正社員になろうとすることで周囲の目は変わっていきました。

特に、同じコンビニで働く仲間たちは喜び、噂をするくらい。

古倉本人として、少し安心しながらも、違和感が残り続けます。

コンビニを生活の中心にすることで社会に溶け込むことができていたのに。

その後の古倉は、名義だけは普通に近い存在になったものの、コンビニという軸が無くなったことで生活が大きく崩れ始めます。

最終的に、コンビニこそが自分の居場所であると自覚し、白羽と決別します。

恐らく、元の生活に戻っていくと思うと、普通には慣れなかったのかもしれません。

しかし、世間一般の普通にしようとすればするほど、彼女は生命すら危うい状況になってしまいます。

世間の型に当てはめることが、その人にとってよりよい人生ではないことを痛感しました。

およこ
およこ

自分が母親でも、古倉さんの少女時代は不安で仕方がないわよ。

親だからこそ、型に当てはめてあげなきゃいけないと思うけど。

おすぎ
おすぎ

確かに、我が子だとまた別の問題かもね。

ある程度自立した後の彼女にとって、世間の一般的な常識は邪魔でしかなかったんだろうね。

およこ
およこ

ある意味、コンビニ店員として全うすることが彼女の生きがいだものね。

働き方を問題視される現代だけど、働いてる人たちがどう感じてるかが最も重要よね。

おすぎ
おすぎ

時間や一般常識が正義じゃないからね。

そう考えると、世の中にも当事者を無視した普通がたくさんある気がする。

古倉恵子の普通とは?

もともと、古倉恵子は感情の上下が少ない人間でした。

しかし、白羽と付き合ってからコンビニの仕事仲間に怒りや苛立ちを覚え始める場面があります。

恋愛に縁が無かった古倉さんが付き合い、その相手が白羽。

全員が噂し、仕事中にも話しかけてくる。

コンビニのマニュアルや運営に重きを置く古倉からしたら、怒りの対象になります。

コンビニ店員としての普通で正しいのは、おそらく古倉でしょう。

ただ、人間として普通なのはコンビニ仲間なのかもしれません。

これまで他人の話し方や行動を真似して普通を作ってきた古倉でしたが、それらが脅かされても感情が出ることはありませんし、生活において何か言われてもありませんでした。

ただ、コンビニでの生き方を脅かされたからこそ、彼女の普通を脅かされたからこそ出た感情だと思います。

どんなに変わった人でも普通は存在して、普通っぽい人にも異常な面がある。

古倉のように他人の真似をすることは、他の人も同じことが多いと思います。

生まれてこれまで、全てが自分らしさでできている人はいません。

他人の考えや行動を借りて、普通の枠の中にある自分らしさを作っていく。

世界にある普通か、普通じゃないかの議論って、意外と無意味なのかもしれないと思いました。

およこ
およこ

叱られて、褒められて、少しずつ自分ができるものね。

普通の枠にあるだけで、それぞれ違う普通を持っているはずだし。

おすぎ
おすぎ

古倉さんも、多少なりともそうやって大人になっていったんだろうね。

大人になってからは、また違う方面から言われてしまうんだけど。

およこ
およこ

確かに古倉さん自身も変わった人なんだろうけど、世間の「こうあるべき」っていう考え方も、かなり強い物なのね。従わなきゃいけないものばかりでもないのに。

コメント

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